信越の絶景とダブルトラックの走りやすいコース、信越五岳は以前から走ってみたいレースだったのでようやく夢が叶った。
三連休を個人行事で使ってしまったので、家族には大ブーイングだったけど。。。
(現在必死でリカバリーしております(苦笑))
今年初の100km以上の距離を走るウルトラトレイル。
と言っても箱根ぐるりや多摩川源流ぐるりなど、50~70km級の個人的なロングトレイルは走っていたので、それなりに脚に自信を持っての参戦。
初コースなのでタイムは全く想像つかないので特に設定せず、
目標はひとつ、「最後まで走りきる」こと。
スタート地点は斑尾高原スキー場。雄大な景色をバックにテンションあがりまくる。
Google Earthを活用してbirdviewでコースを説明。
いやぁ、こういったものが個人で作れるのだから便利な世の中になったものだ。
コースのことはあまり頭に入らず、感心ばかりしていたw
大事なポイントは、
エイドステーション4Aまでは道幅が広く下り基調で走れるコースだが、飛ばし過ぎは禁物。
下りで疲労が蓄積しその先走れなくなるから、4Aまでは抑えて走ることとのこと。
コースはヤマレコで登録したので、以下からも参照できます。
コースガイダンスを終えるとウェルカムパーティ。
レース前日に沢山炭水化物食べて元気を付けようってことで、食事はボリューム満点だった。
会場では、twitterで普段やり取りさせていただいているランナーのみなさんと再会&初対面。
一度もお会いしたこともないのに、走ることでつながってる不思議な一体感。
走ることは基本ひとりだけど、その走りが誰かの力にもなれるし、自分が支えられることもある。
そんなことを感じる瞬間だった。
同窓会さながらの雰囲気で、お互いの近況報告をしながら健闘を誓い合った。
そして翌日。
外は雨が降っていたがレースが始まる直前には止んでくれた。
午前5時半、いよいよレーススタート。
スタートゲートをくぐって舗装路の坂を駆け上がる。
前日のコースガイダンスのノリでGoogle Earth入れてみた。
■スタート-1A 斑尾山山頂手前まで(0-18.5km)
<コース特徴>
スタートから斑尾高原スキー場のゲレンデを抜けトレイルへ。スタート地点ということもあり沿道の声援は賑やか。つられてペースアップしないようにw
緩やかなアップダウンを繰り返す走りやすいコース。
コースガイダンスでの石川さんの話にもあったように、前半はペースを抑えることを意識。
心拍数で言うと150bpm台あたり。
緩やかなトレイル、急斜面は少なく、飛ばそうと思えばいくらでも飛ばせる区間が続く。
でもまだ序盤戦。
第一関門までの51.5kmは距離的には全コースの約半分だけど、レース全体の負荷でみたらきっと2割程度だろう。
沿道の声援に気分が高揚してついつい飛ばしたくなるコースではあるが、ドウドウドウとここは抑える。
SUUNTO t6の心拍計とにらめっこしながら走り続ける。
旅の初め、ガソリン満タンの車がエコドライブをするように。。。
ところが、マイペースで走ってるつもりが、周りを見ると女子3位グループ小川さん、上宮さんと同じペースで走っている。。。
けっこう抑えて走ってるつもりなのに、順位は結構上にいるらしい。
30位台といったところ。
女子の入賞者は14時間台。
私は目標タイムは決めていないものの、ざっくり16時間台くらいだろうなと思っていたので
明らかにハイペース。
「下りで走り過ぎないように」
コースガイダンスでの石川さんの言葉がよぎる。どうしたものか。
速度はキロ5~6分程度。
レース中の平坦路では決して速いペースではない。
でも今このペースで走ると、後半脚が持たないという。
でも平坦路を走るのには自信があるし、生まれ持った大根脚w
自分の耐久力は過去のレース経験から良く知っている。
ここは心拍数だけを気にすることにし、速度についてはあまり気にしないようにした。
■1-2A 斑尾山登頂、そして下山(18.5-23.9km)
<コース特徴>
五岳の1山目、斑尾山。
400m登って500m降りるまさに斑尾ピークハントの区間だが、なだらかな山道なので登りも下りも比較的走りやすい。
第一関門までの登りと言えば、20km地点の斑尾山(1,382m)と、30km地点の袴岳(1,135m)。
体力があるうちの登りなので比較的力強く走れるが、無理は禁物。
もともと登りが弱いので、手を膝に押し当てながら確実に登る。
小股でちょこまか。
大股で歩くと負担も大きいので1歩あたりの負荷は軽いほうがいい。
でも時折、傾斜や足場の関係で大股にせざるを得ないところがある。
そんな時、派手に滑った。
大股で脚を置いたところが粘土層のスリッピーな場所で、反対の脚を上げようとしたらグリップ出来ずにズルッ!
両手を突っ伏した状態で倒れた。結構恥ずかしい体勢(苦笑)
後ろから、「大丈夫ですか?」と声を掛けてくれたのは女子3位グループを走る小川さん。
大丈夫っす!と急いで恥ずかしい体勢から脱し、ランニングモードに切り替える。
その後しばらく、レースのことについて話をしながら走った。
レース中に、ランナーと話をするのはとても楽しい。
景色の美しさや気温の暑さ寒さ、コースのキツさや時にはレースとは全然関係のないことも。
まさに今、リアルタイムに一緒に体験していることを共有し合うこと自体が、楽しいのかな。
ましてや日本女子のトップランナーとである。本当光栄でした(^◇^)
■2-3A 袴岳を登り、緩やかな長い下りを経て妙高高原へ(23.9km-38.5km)
<コース特徴>
袴岳を山頂まで300m登り、600mまで一気に降りる。
斑尾と同じく、基本的に飛ばせるコース。
下りは、勢いで自分の意志とは関係なく脚が動くので、無理に減速しようとすると大腿筋に負荷が掛かる。
自然に任せて足を置くような走りが理想。
袴岳を下り終わると、森林風景だった世界が一気に青空が開け、ステージが変わったことが印象づけられる。
妙高高原、3つ目のエイドステーション(3A)に到着。38.5km地点。
エイドステーションでは、水だけでなくMUSASHI、バナナ、パワーバー、温泉まんじゅう、塩、梅干しなど、必要な栄養素を補充できるものが豊富にある。
だいたい15-20km間隔でエイドがあるので、自分のザックに積む食糧はそれほど無くてもやっていける。
トップ集団の選手はザックを背負わずに走ったりもしている。
さすがにそれは真似できないけど。。
エイドにあるものは1種類ずつ片っぱしからご馳走になり、しっかり腹を満たす。
食欲があるのは体調がよい証拠。
さて再びスタート。
沿道から多くの人に声援をいただく。
■3A-4A 関川沿いの平坦ロード後、緩やかに登って第一関門へ(38.5km-51.5km)
<コース特徴>
この区間は緩やかに登るロードがメイン。
3Aまでの下りで脚を酷使してきた人は、ロードの衝撃が大腿筋に突き刺さるほど辛いだろう。
しかも森林ではなく青空の下。太陽を遮るものが無いため、暑さにやられてしまうランナーも少なくない。
走れる区間だけに、それまでの脚の温存と暑さ対策が大事な区間。
ここからの約10kmは平坦なロード。
前後に選手が見えず、完全な一人旅。
身体をやや前傾姿勢にして、倒れこむようにして推進力を生む。
ロードは毎日走り込んでいるので、疲れた時でも前に進むよう身体が覚えている。
途中、黒姫山登山に向かう子供たちに遭遇。
「頑張ってください~」と声援をもらったり、手を出してハイタッチしてくれる子がいた。
ふと、UTMBでキリアンが子供たちに囲まれて走ってるシーンを思い出した。
すっかりキリアン気分。キリアンとは程遠いけどw
長いロードと緩やかな登りを越え、第一関門到着。
関門では、ちゃんぷさんと合流。
スタート直後に離されていたがようやく追い付いた。
少し表情に疲れがみえていたが、50kmも走ったのだから当然だろう。
お互いを励まし合った。
応援者に交じってバンビさんにも再会。
故障のため今回の信越は大事をとってDNSだが、チームの応援に来てくれたとのこと。
ラン仲間がここにいる、それだけで腹の底から力をもらうことができた。
エイドでバナナを頬張り栄養補給。
力を新たにして関門を後にした。
■4A-5A 黒姫高原一気登り、標高1,300ラン(51.5km-66.6km)
<コース特徴>
関門を抜けると黒姫高原コスモス園。急な登坂だ。
観光客が薄紫のコスモスの花畑を楽しむ一方で、僕らのようなトレイルランナーがアスファルトの坂を走り詰める。
そんな場違いな私たちを温かく応援してくれた。有難い。
4Aを過ぎると標高900mの世界から、1,300m台の高所ステージへ。
しばらく平坦路や緩い登りだったので、久々の急登が余計にきつく感じる。
ここではローギアが強いランナーが力を発揮する。
走っては歩き走っては歩くの繰り返しで、なんとか速度を維持する。
前方を進むランナー2人と、走りつ歩きつの根競べ。
ひとり登りの強いランナーがいたので、話をしながら彼について行くことでペースを作っていった。
たぶん一人だったら、楽な歩きだけで走ることは出来なかったかもしれない。
緩い坂を登り切り、急な岩場を下ると関川をまたぐ吊り橋に差し掛かる。
橋の上は走ろうとするとグワングワン揺れて恐いので、歩いて渡った。
注意書きを見ると一度に2名までしか一緒に渡れないとのこと。
このポイントは後続ランナーの渋滞スポットになりそうだ。
橋を渡り、再び急な登りに入ると、後方から女子3位グループの大石さんが追い上げてきた。
急坂緩坂混在の区間でゆっくりペースの中、会話しながら進む。
トレイルではランナーとの会話も楽しみのひとつ。
ロードの大会の場合は、平坦路のスピードレースなので人と話す余裕もないが、山の中登り下りが混在するトレイルの場合は会話をする余裕もある。しかも自然の中を走りながらなので、感じたことを分かち合いたいと思うのかも知れない。
一緒に走っているランナーはライバルではない。
ライバルは過去の自分。
一緒に走るランナーは、自分というライバルとの戦いに力を与えてくれる、同志のような存在だ。
平坦なトレイルに入り、ペースアップ。
途中、オートキャンプ場を横切り第二関門、5A地点に到着。
ここは、ドロップバックとペーサー参加地点。
私はどちらも活用せず。
ペーサーとは、選手の安全面とパフォーマンスを引き上げるために、選手をサポートする人。
直接的な走行補助行為(手を引く、体を押す、けん引など)以外のサポートは可能なので、選手の荷物を持ったりペースコントロールをしたりすることができる。
またドロップバックは、レース中に不要になったものをこの場に置き、これから必要となるものをここでピックアップすることができる。
着替えをし、必要な食糧・夜に向けてのライトをするランナーも多数いた。
私がドロップバックを活用しなかった理由は、でバックした備品はレース翌日に返還されるので、帰りが遅くなってしまうため。
本当はレース後も最後まで信越五岳を満喫したいところだが、家族の手前やむを得ず。。
軽量化を追求するなら活用すべきと思うが、エイドが充実しているので手持ちの食糧に頼る頻度も少ないため、個人的にはドロップバックはそれほど重要でなかった。
■5A-6A 黒姫山沿いを登り戸隠エリアへ(66.6km-81km)
<コース特徴>
黒姫山の西側を巻くように走る登り基調のコース。
5Aでペーサーを付けたランナーは、ここからペーサーとの二人旅が始まる。
このあたりから疲労が徐々にパフォーマンスに影響し始める。これを乗り越えられるかどうかがポイント。
6A手前で現れる古池沿いのコースは、一瞬青々とした景色となってなかなか印象的。
5Aを過ぎるといきなり急な階段にさしかかる。
さすがに階段は走れないので、膝に手を当てながら歩く。
後日談だが、この階段を相馬剛さんは走って登ったそうな。。。
エリートランナーと私たちとの差は、やはり雲泥の差なんだな。
緩い登りが続く中、私はひとりロンリーラン。
ペーサーと一緒に走るランナーがいるとちょっと羨ましい。
レース前半ではこれくらいの登りはランで行けたものの、70kmを過ぎて疲労が見えてきて思うようにいかない。走っては歩きまた走ることを繰り返す。苦し紛れのランに気持ちが折れそうになる。
それまで先行していたが、登りで小川さん、小河内さんペアにもパスされた。
その際、「頑張りましょう」と声を掛けていただいた。
喉が渇いて声にならない声だったが、お礼を述べて「まだ粘ろう」再び奮起する。
再び一人旅。
へばってもへばっても一人だと、いいかげん誰かに会いたくなる。
疲労が蓄積すると気持ちまで弱気になってくることを実感。
疲労が、大腿筋の付け根あたりに集中しているようで走る度に筋がピキピキと悲鳴を上げる。
走りたいという意思に反してなかなか脚が進まない。
頭の中でテンションが上がりそうな曲を探して何度も何度も流す。
身体の痛みを精神で誤魔化そうと試みる。
しばらくすると、70km後半に差し掛かるあたりから熊鈴の音が近づいてくる。
シャリンシャリンシャリン。。
久々の後続ランナーか。
そう思って数分後に自分が抜かれることを覚悟しつつ、自分なりの速度で走る。
しかし、進めど進めど後続のランナーは私を抜いて来ない。
何だろうこのプレッシャーは?
振り返ると運営の方だった。
「選手じゃありません、すいませ~ん」と。
どうやら夜に向けて、コースライトの点検をしながら走っているらしい。
選手に配慮してくれてか抜かないように走っているようだが、ずうっと後ろに貼りつかれているので、精神的にはプレッシャー掛けられた気分だった(苦笑)
このまま逃げるように6Aへ。
■6A-7A 戸隠神社黒姫山沿いを登り戸隠エリアへ(81km-87km)
<コース特徴>
平坦路だが、ダメージの蓄積するコース。
6Aを過ぎるとしばらくロード。80kmもの距離で疲労した脚に、さらにロードの固い衝撃は膝に堪える。
しばらく走っていると戸隠神社の参道に入り込む。
人々で賑わう参道。砂利道でこちらも脚の負担も大きいが、多くの声援を受けるコースでもある。
参道に入るころには大腿筋の付け根の張りがピークまで来ていて、脚を振り出す毎に痛みが走る。それでも参道の方々が「頑張れ~」と応援してくれるので、歩きたい気持ちを抑えて遅くても走り続ける。
1kmほどの長い参道、随神門で係の人が左折を促し、戸隠森林植物園に入る。
木材が敷かれた道で、観光客が通るような整備されている。
数百メートル過ぎたあたりで、後方から随神門から聞こえる係の人の声。
きっと後続のランナーがやってきたのだろう。
トレランは自己挑戦の競技だと思ってはいるが、後続ランナーにずるずる抜かれるのはやっぱり気持ちが滅入る。
自分がペースダウンしているのは明らかなので、落ち幅を減らそうと必死にあがく。
ここは平坦路。歩く訳にはいかない。
■7A-8A 戸隠スキー場へ(87km-92.3km)
<コース特徴>
登り下りが続くダブルトラック、だったと思う。
あんまり覚えてません。すいません。
7Aを過ぎると、先月のUTMBで見事完走された岩佐さんが力強い走りで追い上げてくる。
2Aでは先を行かせていただいたが、後半でも落ちない走りはさすがのひと言。
白いキリアンのウェアがあっという間に視界から消えた。
岩佐さんとはハセツネや北丹沢等、各地のトレイルレースでお会いすることが何度もある。
レース経験はもちろん、日々の鍛錬からギアや海外トレイルに関する情報まで非常に詳しいレポートを書かれていて、いつも参考にさせていただいている。
尊敬しているランナーの一人だ。
緩めの登り下りでも力強く進めないもどかしさ。
負荷に対して粘りが利かなくなり、徐々に弱気の虫が蠢き始める。嗚呼。
しばらくして、女子4位の上宮さんとペーサーのペアにも抜かれた。
次のエイドまでたった5.3kmなのに、途方もなく遠く感じる。
ガタがきた自動車の如く不安定な走りを続け、ようやく第三関門、そして最終エイド8A戸隠スキー場ゲストハウス岩戸に到着。
■8A-ゴールへ(92.3km-110km)
<コース情報>
登るは五岳最後の瑪瑙山(めのうやま、1,748m)。
広々とした山頂まで登り、背後に日本アルプスを一望することができる。
下山後は、5km以上続く平坦な林道。
林道を経ると、ついに110km旅のゴール地点、飯綱高原ハイランドホール飯綱へ。
最後のエイド、8Aでは蕎麦を掻き込み胃袋を満たす。
大腿筋の付け根の疲労はかなり溜まっているが、胃腸は幸い、というか全くもって元気。
食がパフォーマンスに直結していないのが残念なところだが、身体に栄養が漲っているのでガス欠の心配はなさそうだ。
椅子に腰かけて食事をしていると、空気が冷たい。
あまり休んでいると身体が冷えそうなので、休憩もほどほどに立ち上がる。
そろそろ暗くなり始める時間帯、頭にライトを装着して出発する。
ゴールまでの距離は17.7km。
6-7-8Aのエイド間隔が10km未満だったのに対して、最後の区間は途方もなく長く感じる。
110kmの旅の最後は、苦しめということか。
ひがみっぽくていけない。
瑪瑙山を登る頃には周辺は暗くなっていた。
登りに向かうランナーのライトが点々とあたりを照らす。
スキー場のような空が開けた登り。
振り返ると、北西の方角には雲を冠した日本アルプスの山々が連なっている。
薄い夕焼けが山々を照らしており神々しい景色だ。
カメラを持ってくれば、間違いなく足を止めていただろう。
山頂へ行くまでに3人位に抜かれただろうか。
しかしもはや巻き返す力もない。
ひたすら自分の歩める速度で登るのみ。
力強い登坂力が欲しい。
後続に抜かれている自分を見て、まだまだ手に入れることが出来ていないことを痛感する。
瑪瑙山山頂到着。
山頂からは急な下り。
暗い視界に深い草、下手をすると足元を取られるので減速しながら走る。
減速すると大腿筋の前部が猛烈に軋む。
それが2kmほど続くものだから拷問かと思うほど辛い。
振り返っても後続ランナーのライトはない。
明らかにペースダウンしている私は、元気な時は気にもしなかった後続のことばかり考えていた。
それほど気持ちに余裕がなかったのかもしれない。
100kmの看板まで早く辿り着きたい、その一心で。
山頂から2kmで100kmに着くはずが、5km以上の距離を要しているように感じた。
そしてようやく100km。
残り10km!
瑪瑙山を再び登り、再び急坂を下る。
すると、下りきったところで係の人が待ち構えており、ラスト5kmを告げる。
ようやく下りきった!
ラスト5kmは林道。
平坦な道だが、地面が固めで脚の負担も大きい。
105km走りつづけてきた大腿筋の付け根が、もう伸縮したくないと走るのを拒否している。
付け根の筋を無理やり伸ばし、無理やり縮め、無理やり走らせる。
着地する毎に嫌な刺激が脚を登り、耐えきれず歩きを交える。
万全であればこの林道は飛ばせる区間だっただろう。
走りと歩きを繰り返しながら進む自分をよそに、ペーサーと共に快調な足取りで走り去るランナー。
自分でペースを作れない時、一緒に走ってくれるランナーがいたらどれだけ心強いだろうか。
痛みが弱気を生みだしている。
情けない。
すると前方からライトを点けたランナーが。
すれ違い様に私の名前を呼ぶ声。
「バンビさん!」
第一関門で応援してくれたバンビさんが、ゴール地点からここまでランナーを応援しに来てくれていたのだ。なんと心強い!
体勢を反転させ、私と並走してくれた。
自律的にペースを維持できない私は、バンビさんのペースに合わせて引っ張られるように脚が進んでいく。
ペーサーの存在の大きさを身を以って知った。
自分が辛い時、走る背中で引っ張ってくれる心強さ。
一人でいると塞ぎ込んでしまうところを、陽気な会話で元気付けてくれる。
他愛のない話をしながら徐々に力を取り戻し、ようやくゴール地点が見えてきた。
草の深い下り坂を走り抜け、ようやくゴール。
タイムは15時間8分5秒。
総合44位、男子総合39位。
110kmの長いトレイルの旅は終わった。
最後は私を走らせてくれた信越の山々、そしてまだ山に居るスタッフの方々に向かって深々と礼をした。
ゴール地点では、見事総合6位に入賞したDMJの山屋さん、10位の井原さんが出迎えてくれた。お二人とも私が手の届かないほど素晴らしい成績。
私の3時間前にゴールしているのだから、超人としかいいようがない。
初の信越五岳、目標は最後まで走りきることだった。
結果は、何度も心を折りながらも走りきることだけはできた。
あと少しで14時間台。
レースを終えてから徐々に悔しさが滲んでくる。完全に欲だけど。。。
信越をステージとした110kmものトレイルをコース化しただけでなく、ホスピタリティ溢れるレース運営。石川 弘樹さんをはじめとした大会運営に関わる全ての人に感謝してもしきれない。
来年もまた出たい。
1年後、力を付けてまた戻ってきます。
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