100マイルレースはUTMFに続いて2度目。
超長距離なレースだけに、内容も長大。
一気に書ききれる自信がないので小出しで投稿します。
それでも遅いけど。。。
このレースは当初、八ヶ岳を舞台にロードと林道とトレイルがほぼ同じ割合の「走れるレース」という印象しかなかった。制限時間は30時間、UTMFの48時間と比べると18時間も短いスピードレースになると。
だが、レースの時期が近付くにつれ現地の情報が集まってくると、この時期の八ヶ岳は氷点下の世界、厳しい寒さであることをようやく理解し始めた。
■レース1週間前
自分の心許無い装備と知識に危機感を抱き、アートスポーツ渋谷店に日参することに。
そこで店員さんからレイヤリングの基本を教えてもらい、冬の装備を購入した。
今回の装備。
【1st】Finetrack ドライレイヤー
【2nd】Patagonia ノースリーブ、c3fit アームウォーマー
【3rd】ARC'TERYX 中厚地のベースレイヤー
【4th】montbell バーサライトジャケット or ウルトラライトシェル
【5th】ユニクロ ウルトラライトダウン ※110kmデポ
【5th】ユニクロ ウルトラライトダウン ※110kmデポ
【6th】montbell ストームクルーザージャケット ※110kmデポ
【脚】2XU ロングタイツ
【手頭】耳当て、手袋
【脚】2XU ロングタイツ
【手頭】耳当て、手袋
アウターは普段着含めて自前のものがあったが、レース中の汗冷えを恐れて撥水性のあるドライレイヤーやベースレイヤー等を購入した。
冬山を知れば知るほど自分がいかに厳しい環境下で走ることになるのかわかってきた。
「登る」のではなく「走る」のである。
大量の汗が冷えた途端、冷たさとなって自分に襲い掛かってくる。
止まったらこのレース終わりだと覚悟していた。
■レース当日
スタート地点のプール平。
蓼科湖から2kmほど北上したところにある。
朝4時時点の気温は氷点下5℃。
止まっていると体が震えだすほどの寒さ。
ダウンジャケットとストームクルーザージャケットは110kmのデポでピックアップ予定で、スタート地点ではバーサライト以下4枚を着ていた。
中にはロングTのみの人も数人いたが、この寒さに耐えられるだろうか。
スタート地点は、外気の寒さと人の熱気があいまって白煙が立ち込めていた。
トレラン仲間のDiet Go Goさんとちゃんぷさん、すぽるちばの石井さん、ノリさんにお会いし、お互いの健闘を誓い合った。
5時、暗闇の中スタート。
161km、未曽有の旅が動き出した。
■コース概要(スタート-第一関門)
スタートから第一関門までの54kmは、前半30kmは標高差200m程度の比較的走れるコース。残り24kmは標高1,100m-1,600mのロードとトレイル。この区間でタイムを稼ぐというより、初めてのレースで先が見えない中、後半に備えて様子見な走りをするランナーが大半だろう。
■スタート~第1エイド(8km 岳麓公園)
プール平から第1エイドの岳麓公園まではわずか8kmの下りロード。
飛ばしすぎないように心拍数150bpm前後を保つよう意識しながらペースを抑える。
優勝候補の平澤選手はあっという間に見えなくなったが、30人位の第2集団をしばらく走り続ける。
自分はかなり抑え目に走ってるつもりだったが、ほかの選手もかなり抑えているようだ。
6時前。
東方から八ヶ岳が姿を現した。
あまりの美しさに足を止め、写真に収める。
スタートから1時間ほど経過すると、集団もばらけてきて前後300mに1,2人見える程度になってきた。
たまに並走する選手たちと会話を交わす。
お互いの調子、UTMFついて、この寒さについて等々。
レース中の会話は楽しみのひとつ。
自分に近い能力と価値観を持った人たちと知り合える良い機会。
走っているのはひとりであるが、
お互いの状況を共有することで、一緒にゴールを目指す同志として思えてくる。
強い意志を持った個々が、神経のシナプスのようにつながって、より強くなっていく。
ここでも目を奪われる。
6時半過ぎに第一エイドの岳麓公園に到着。
最初のエイドでは、水とバナナとトマトが振る舞われた。
しかもトマトは袋入り。
小さいながら皮がしっかり厚くてなかなか食べ応えがある。
さすがに一気に食べれないので、ジャケットのポケットに忍ばすことにした。
エイド付近でハリマネさんに再会。撮影、ありがとうございます!
顔の白さで当日の寒さが伝わってくるでしょうかw
■第1エイド(8km 岳麓公園)~第2エイド(19km 八ヶ岳自然文化公園)
第2エイドまでは林道とロードが織り交ざった区間。
スタートしてからまだ一度としてトレイルに入ってないことにはうんざりしていたが、景色の変化が目を楽しませてくれる。
・制限時間が30時間と厳しいこと
・累積標高が7,200mであり、UTMF(8,500m、制限時間48時間)と大差ないこと
・寒さという不確定要素があること
・トレイル比率が低いこと
タイムレースとしては寒さとトレイル比率は好条件になるはずだが、寒さにも限度がある。
ざっくり目標としては26-28時間くらいと見ていた。
■第2エイド(19km 八ヶ岳自然文化公園)~第3エイド(33km 登山歴史館)
20kmを過ぎるとようやくトレイルに入る。
足元の草がふかふかしていて心地が良い。
やはりこうでなくては。
緩やかにアップダウンする地形が小気味よく、走るリズムを作ってくれる。
概ね調子は良い。
この区間で数人パスをした。
■第3エイド(33km 登山歴史館)~第4エイド(43km 天女山駐車場)
登山歴史館から観音平まではロードを直登。
1,200mから1,600mまで2kmを一気に登る。
歩きを織り交ぜながら、小股で駆け上がる。
後ろから体格の良いランナーが速いペースで登ってくる。
私よりも身体が重そうだが、登るペースは力強い。
じりじりと差を詰められていくものの、私も脚は十分残っていたので先行を維持。
でも、景色が変わらないロードの登りは精神的にしんどいな。。。
つづら折りのカーブを越えて、観光客で人が溢れる観音平到着。
時刻は8時40分頃。
なんと、24時間ゴールを2時間近く上回るペースではないか!
私のタイム表だとこのままいくと22時間台でゴール!?
予想以上の早さに自分が驚いた。
そんなに飛ばしているわけでもないのに。
落ち葉が敷き積もったトレイル。
岩がそこらじゅうにゴツゴツある。
たまに落ち葉に隠れた岩を踏んづけてしまってちょっと焦る。
意外とテクニカル。
でもこの緊張感が楽しい。
緊張するから楽しくて、楽しいから時間が経つのもあっという間なんだろうな。
観音平から天女山を通るこのトレイルは、標高1,500m-1,600mの間でアップダウンを繰り返す。
こんな感じでぐゎっっと登り
こんな感じでどどどっと下り
こんな感じでずどどどっっと登る。
右上の方に人がいるのが分かるでしょうか?
こんな調子で走っていると徐々にへばり始めてペースも落ちてくる。
後ろから来るランナーにずるずると抜かれ始める。
すぽるちばのしんやさんやDiet GoGoさん。
他人と競う気持ちはあまりないが、それでも抜かれるのはちょっと辛い。
落ちるのが少し早くないかい?
標高1,800mに近づいてくると青空が少し見え始めた。
だいぶ暖かくなってきたので、バーサライトジャケットを脱いで耳当てを外し、首に巻いていたバンダナを頭に巻き替える。
景色を見ていて気分を良くした、落ちていたペースも徐々に回復。
先行されていた先輩ランナーのハリ天さんやあかさんに追いついた。
葉が黄色く色づいている。綺麗だ。
この辺からはレースというより行楽モードに変更。
せっかくの初八ヶ岳。目でも楽しまないと。
景色を見上げながらカメラを片手に撮影しまくるのであった。
すっと伸びた針葉樹から黄金色の紅葉が。
一気に視界が開けて八ヶ岳が!!!
空と八ヶ岳と紅葉。
月並みな表現だけど、絵葉書みたいな光景が目に飛び込んでくる。
八ヶ岳とグラサンと私w
しばらくこの場でとどまっていたかったが、今日はレース。
景色に心を奪われつつも足を進めた。
このあたりは観光客も多く、おばさま方から「頑張って~♪」と黄色い声援をいただいた。
ありがとう!頑張りますとも。
頑張れ!という言葉はどんな時にもらっても嬉しい言葉である。
気分が乗っている時はさらに力になるし、消耗したり落ち込んだりしている時には腹の底に火を灯してくれる。
直面している何かを乗り越える力になるのだ。
青空の下、稜線を駆け抜ける。
軽くなった足取りのまま第4エイド、天女山駐車場到着。
■第4エイド(43km 天女山駐車場)~第一関門(54km 清里)
ここでまた、ハリ天さん、あかさん、しんやさんに合流。
ロードを約100m、一気に駆け下りる。
ロードの下りは好きだ。
なぜなら力を使わずに自分の実力以上のスピードを出せるから。
(レース後半はそれが大分変ってくる訳だけど...)
ここでは、ショックアブゾーバーのような太い大腿筋がおかげさまで役立っている。
舗装路を下るとまたトレイルへ。
このあたりのトレイルは、岩がごろごろしているのが特徴なのかもしれない。
岩をよけながら前進する。
途中、小川を渡る場所があった。
順路は右上のトレイル。
足場があると思って葉っぱのあるところに着地したら、ズブズブズブッ!
川だった!
ただ川に葉っぱが浮いてるだけだったところがあり、足を思いっきり濡らしてしまった(苦笑)
昼まであったのが幸い。
夜だったら足が冷えて大変なことになってただろう。
早く乾くのを祈りながら小川を後にする。
<続く>
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