2012年10月10日水曜日

第20回日本山岳耐久レース


今年も行ってきました。オトナの大運動会、日本山岳耐久レース(ハセツネCUP 
自身12回目の参戦です。

昨年果たせなかった「サブ11」を再度目標に掲げ、リベンジ狙いに行きました。

■コース
ハセツネは、全長71.5km、累積標高差4,800m、トレイル率95%以上の縦走型トレイルレース。
途中のエイドは第2関門(42km地点)の水分補給のみ。ドロップバック(途中荷物入れ替え)なし。
エイドが充実している近年のトレイルレースとは異なり、基本は全て自己装備。






■目標

サブ11(目標タイムは10:50







2009
年のサブ811付近ランナー全タイムから平均値を割出し、目標設定の参考にしました。
トレイルの場合、登り下りの要素によって個人の強み弱みが顕著に表れるので、平均化したら多少は均されてるかな。

■作戦
平地       :とにかく走る。多少の登りも走る。
登り        :ペースダウンしないように膝を手押し登り
下り        :身体の上下動を最小限にして走る。



■スタート第一関門~浅間峠(22.66km












開会式の進行が押していてスタート地点に移動する途中で号砲鳴ってスタート。
いちおうきっかり13時。なにはともあれハセツネスタート。

スタート地点の五日市中学校校門入り口から少し離れていたため、たどり着くのに約1分。
気付いたら数百人のランナーが先行していた。

ハセツネは、スタートしてからはダッシュ。
なぜならトレイル入口が混雑し渋滞になるから。約2,200人ものランナーがシングルトラックのトレイルに押し掛けるのだから無理はない。

混雑を避けるようにスタートしてからの約4kmは結構重要なのだ。
多少出遅れた感じで、抜けども抜けどもランナーの群れの中だったけど今熊神社に入るころにはだいぶばらけた状態でトレイルに入ることが出来た。

第一関門までの目標通過タイムは3:00
昨年は3:08だったので、より速く通過しなければならない。

第一関門は登り基調だが、大きな山はなく、ひたすら小刻みなアップダウンが続く。
体力あるうちに走り抜けていくので、例年この区間のタイムは早め。
第一関門だけならサブ11ペースなのである。

順調なペースで先行するランナーを捉えていく。
醍醐丸の登りも、膝に手を当ててぐいぐい押していく。
レース序盤はスタート直後のお祭り気分でオーバーペースで突っ込んでくるランナーもいて、このあたりからペースダウンしてくる。
渋滞を避けるためにハイペースなんだけどオーバーペースではない、この感覚はハセツネを重ねることに身についてくるものだと思う。

雨上がりのトレイルには冷たい空気が漂っており、同様の天気で蒸し暑かった去年とは全然状況が違う。
水分補給も思ったより少なく済んでいる。
途中、トレラン仲間のセブンさんに追い付いた。
セブンさんは、ハセツネ前に同じサブ11を一緒に掲げた特別な存在。
一緒にサブ11達成したかったので、固く握手をしてお互いの健闘を誓い合った。

三国峠を越えると20km。そろそろ第一関門の浅間峠。
タイムは2:50手前あたり。
目標の3:00は厳しい展開。

結構頑張って走っているはずなのに。
例年も速く走れている区間なのでなかなか手ごわい。

結局、3:09:18で関門通過。
去年よりも1分強遅くなってしまった。

■浅間峠~月夜見駐車場(42.09km


休まずにそのまま関門を通過。
浅間峠の登り斜面には大勢の仲間がいて大声援をいただいた。
比登美さん、まめこさん、彩子さん、のぶかさん、中根さん、chinさん、春山さん、朝倉さん、応援ありがとうございました! それにしても中根さんがいたのにはビックリでした。


















応援で気力が充実し、再び喝を入れ直す。
第二関門までの目標タイムは6:20
レース最高峰三頭山があるこの区間、基本的には小刻みなアップダウンだが、西原峠から三頭山までの約4kmはちょいキツめの登りが続く。
過去のベストタイムは6:33。第一関門の通過タイムも目標よりも10分近くオーバーしており、なかなか厳しい状況。

ノッケから目標タイムをクリアできなかったことから、サブ11はやはり相当厳しいものだとこれからの展開を思い描いた。

関門通過して早々、漆黒のあれんさん、ランチさんに遭遇。
お二人とも故障を抱えて辛そうな状態。万全の体制で走ったら私よりもはるか前方で走っているはず。
挨拶をし、前を行かせていただいた。

17時を過ぎると辺りも暗くなり、ライト点灯。

小刻みなアップダウンを走り通し、西原峠。
長い登りを膝手押しで進む。

登りになると数人のランナーにパスされるが、自分では悪くないペース。
抜くランナーが速いだけなんだと焦らず自分のペースを守る。

脚の消耗もほとんどなく三頭山到着。
さてこれからが下り。
鞘口峠を下って月夜見へ。

途中、仲間の石羽さんが足を引きづりながら歩いていた。
レース中の故障か何かで脚に痺れが来ているようだ。
鞘口峠でリタイアするとのこと。
レース中盤まで来たのにこの決断は相当辛いものだろう。。。

三頭山から鞘口峠までの下り。
20
代の頃は下りが大好きで、斜面を滑り落ちるように走り抜けていた。
このスリルがトレランにはまった要因のひとつでもあった。
しかし歳を重ねるにつれて、斜面に対する恐怖心が少しずつ芽生え、今ではペースをやや落としながら走るスタイルになってきた。前傾姿勢の基本は維持しつつだが。。。

転倒のリスクを取って速く走るか、リスクを減らして無難に走るか。
少し守りに入っている走り方なので、ここは今後の課題。

風張峠を越え関門が気になってくる。
関門まであと2km
ロードなら10分も掛からないものだが、トレイルではそうはいかない。
目標タイムにどれだけ近づけるだろうか。これ以上の遅れはサブ11が遠のく。

そんな焦りを感じながらようやく第二関門、月夜見駐車場到着。
タイムは6:25:54
目標から約6分遅れ。遅れを3分短縮していた。



















■月夜見駐車場~第三関門 御岳山(58km
ほぼ同じタイムでセブンさんも関門通過。
給水所でポカリスエット1.5リットルを補給。

例年ならここでビニールシートに座って5分程度補給を兼ねて休憩をするのだけど、今は1分でも惜しい。
ボトルとハイドレに補給してすぐに関門をあとにした。

第三関門は御前山と大岳山のダブルピーク。
区間距離は16km程度だが、ベストでも3:10掛かるコース。
目標タイムは3:00だが、すでに6分ビハインドしているのでそれ以上に速く走らなければならない。

余裕が一切ない緊張感。
心の中が些細な事でポジティブにもネガティブにも入れ替わる、そんな状態だった。

早々に補給を終えたセブンさんはあっという間に視界から消え、先行。1分後くらいに私も関門を出発。

御前山は三頭山と登る感覚が似ており、4km程度をだらだらと登っていく。
膝手押しで登っていくが徐々にきつくなってくる。それでもなんとかペースを維持する。

登り途中で後ろから元気な足音。
トレラン仲間のハリ天さんである。見るからに表情が明るい。
テンポよく力強いフォームで一気に上空に消えていった。
速ぇ~。
そしてしばらくして、まらそんもんくさん。
去年10:04でゴールした実力の持ち主。
今年は練習不足と言いつつもさすがの登り。
まだまだ登りで対抗できる相手ではなかった。

二人の仲間に気持ち良く先を越され、再び孤独の世界へ。

登りの強いランナーの登りを見せられると、自分の非力さに絶望してしまうのだけど、今年一年はその苦手を克服するために登りを今できる環境で徹底的にやってきたつもり。
ここで諦める訳にはいかない。

幸い登りの脚は残っている。
膝手押しのスタイルは崩さず、登り続ける。

御前山を通過。
大ダワまでの下りを駆け下り50km通過。

ラスト21.5km

おんたけウルトラ、UTMF、信越五岳と100km以上のロングトレイルに出ていると、ハセツネの71.5kmが感覚的にも短く感じる。

絶対的な距離の長さと辛い時間は多少比例する。(中距離でも非常に過酷なレースは例外だけど。)

あとは大岳山を登るだけ。
そう考えると気分が楽になった。

大岳山に行くまでの平地は基本走れる。
このあたりでは平地でも歩いているランナーを何人も見かけるようになった。

ウエストにぶら下げたボトルが多少重かったが、歩幅を短めに刻むように走り続けた。
やはり歩くと走るのとではタイムが大きく変わってくる。

大岳山。
岩場のような山で急登。
他の山と比べると一番急な山だが、距離は短い。

苦しさは大きいが頑張れば一瞬で終わる、そう考える。

ペースを落とさず気合を入れ直し、岩にしがみつく。
大岳山山頂。
ハセツネの登りがようやく終わった。

登りからようやく開放され、気分はゴールしたかのようだった。
でも本当のゴールはこれから。

タイムもまだ予断を許さない。

大岳山の下りでセブンさんに三たび遭遇。
ほぼ同じペースでつづら折りの下りを走り抜けていった。

第三関門到着。

タイムは、9:21:30。目標タイムは9:20:00
1
分差まで詰めることが出来た!

■御岳山~ゴール(71.5km





















最後の区間、いつものペース、1時間30分で走れればサブ11いける。
これまでの区間はサブ11を達成出来るか全く見えなかったが、ここでようやく確信が持てた。

改めてセブンさんと目標達成を誓い合い、御岳山の宿街を抜けていく。

下り基調。
途中のアップダウンも気合で走り抜ける。ここで無理しなければどこで無理をするのか。
身体を地面に垂直に倒し、推進力を得られるように身を任せる。

60km地点の日の出山を越えればもう本当に下るだけ。

日の出山の登りもパワーウォークを交えながら基本走った。

日の出山。
山頂から見下ろす街の明かりが眩しかった。
一瞬の安堵感。

すぐに切り替え山頂の石段を下る。

その時だった。
足を滑らせ石段をずり落ちてしまった。

尻餅をついたので脚は大事なかったが、手をついた際に左手首を切ってしまった。
静脈に沿って赤い傷口が。。。

幸い静脈の隣だったので大きな出血はない。
でも場所が場所だけにかなり焦った。

手首に刺激を与えないよう、時計の位置を変えたり腕を振りすぎないように注意を払う。
ゴールまであと10kmで出血多量、そのままDNFになってしまったら目も当てられない。

金毘羅尾根をひたすら下る。
この区間のベストタイムは1:30。スパートを掛けられるだけの脚は十分残っているので、勢いを殺さず走り続けた。

数秒後ろにセブンさん。
セブンさんのヘッドライトが時折前方を照らす。

お互いいいペース。このまま行こう。

階段の土が崩れて残った木がハードルのようになった場所や、すり鉢状に中央にえぐれた場所。

ゴールまでの区間は下り基調の飛ばせる区間。
しかし、ともすれば足首をやられてしまいそうな罠がいくつもある。

前方の路面変化に注意しながら飛ばせるだけ飛ばして行く。
ひとりに抜かれた以外は抜かれた覚えはない。

70km地点通過。
アスファルト。

ようやくトレイルが終わる。
そしてアスファルトの固い路面へ。
昔はこの衝撃が膝に来る度に悶絶していたが、回を重ねるにつれ脚周りが太くなり、全く気にならなくなっていた。

タイムは10:40
サブ11は確実。

ためらいなく地面を蹴り上げ、先行するランナーを追い抜いて行く。

下りも終わり道路へ。
残り500m

ラストスパート。

下りの勢いそのままに駆けていくと前方には、御前山でお会いしたまらそんもんくさんが。
そしてその先には、あかさんが。
お二人ともトレラン仲間であり、先輩ランナーでもある。

なかなか先行させてもらえることもないのでほぼダッシュで逃げた。

案内係が見え右折。
100m
先にはゴールゲート。

無我夢中。
目標達成した喜びと苦しさからの解放感、努力が報われた嬉しさ、応援してくれた方々への感謝、いろんな感情が入り混じってゴールした。

タイムは10:46:40136位。

ゴールでは多くのトレラン仲間が出迎えてくれた。
もう感情が入り混じり過ぎて、なんて言葉を返したか。いや言葉になってなかったかも知れない。

ただただ嬉しくて、椅子に座ることすら忘れていた。

数秒後にはセブンさんもゴール。

セブンさんと抜きつ抜かれつ刺激し合えたからこそ、このタイムが達成出来たのだと思う。
素晴らしい仲間とライバルに出会えて本当に良かった。

持てる力を全て出し切った。
  
■リザルト
10:4640(男子136位、総合141位)








■消費食糧
・ジェル7
・ベスパ(EX80 1本とHYPER2袋の混合)
・アミノバイタル3
・スポーツミネラル1
・種抜き梅干し1
・スポーツようかん1/2
・メダリスト2リットル

■最後に...
順位が物語るように、私の上にはまだまだ猛者がたくさんいる。
近年ハセツネの高速化は著しく、サブ10ランナーは99人もいるのだ。

私が2000年、11:46で年代別8位に入賞したのはすでに遠い昔のこと。このタイムでは今や200位にも入らない。

笑ってしまうほどレベルの高い世界にきっとこれからも笑いながら挑むだろう。
だって楽しいじゃないですか。

来年はサブ10.5、ないしサブ10か。

私の12回目の挑戦は終わりました。
これからも「限りなき自己能力への挑戦」は続く。

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